
円安で得する人、損する人~あなたの会社は、どちら側にいますか?~
円安で得する人、損する人
ここ最近、為替介入が頻繁に行われ、若干の円高誘導が見られておりますが、2022年あたりからの流れである急速な円安に対し、「輸出企業には追い風」とニュースでは語られます。しかし、現実はそれほど甘くありません。
同じ経営者であっても、円安によって“得をする企業”と“損をする企業”が明確に分かれています。その差はわずかなものではなく、年間で見れば数百万円から数千万円規模の損益差となりえます。
では、その決定的な違いは一体どこから生まれるのでしょうか?
■ 円安で「得する企業」の3つの特徴
- 1. 売上が外貨と連動している輸出事業 インバウンド顧客、海外クライアントを持つビジネスなど、円安がそのまま売上増に直結する構造を持っている業種。
- 2. 価格決定権を持っている(値上げができる) 自社ブランド力や独自の強みがあり、コスト上昇分をそのまま販売価格へ転嫁できる業種。
- 3. 外貨や実物資産を保有している 海外資産、グローバル企業の株式、金などを保有しており、円安局面で自動的に資産価値が上昇する構造。
■ 円安で「損する企業」の3つの特徴
一方で、円安の波を正面から受けて打撃を深めている企業も少なくありません。
- 1. 仕入れ・調達を海外に依存している 原材料、エネルギー、機械部品、ITツール、医療関連資材など、為替の影響が即座にコスト増として跳ね返ってくる。
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2. 価格転嫁ができない業種(価格決定権の欠如)
競合激化、下請け構造、顧客の価格過敏さにより利益が圧縮。コストが上がっても販売価格を上げられない。
※介護事業、医院(保険診療部分)、調剤薬局、保育園、公共交通、下請け製造会社、会員制ビジネスなどは価格転嫁しにくい典型例。 -
3. 資産のすべてを「銀行預金のみ」で保有
現預金だけで資金を保有しているため、円安=実質的な購買力・資産価値の目減りを引き起こす。
★2%インフレ下では、1,000万円の預貯金は毎年20万円ずつ価値を失っている計算になります。
見落とされがちな本質
円安とは、単なる「一時的な為替の波」ではなく、「企業の構造差」を格段に広げる現象です。
本質は、強い構造を持つ企業はより強く、弱い構造のままの企業はより苦しくなるという「格差の拡大」にあります。円安は、もともとあった自社の構造的な弱点を目に見える形に引き伸ばしているに過ぎません。
今すぐ取り組むべき4つの「構造改革」
単なる一時しのぎのコスト削減ではなく、“勝ち残る構造”への転換が必要です。
①「値上げできる力」をつける(価格決定権の確保)
新製品・サービスの追加、差別化、提供価値の再定義、ターゲット層の再設定を行い、「価格を自社で決められるポジション」を探しシフトする。異業種への展開も視野に入れる。
② 仕入れ構造のリスク分散
調達先の分散や、同業他社との共同大量仕入れによる交渉力強化。調達先の国内シフトや長期契約の活用で、コスト変動の影響を最小限に抑える。
③ ビジネスモデルへの「外貨要素」の取り入れ
売上・コスト・取引先などに外貨連動要素を組み込み、為替リスクを相殺できる仕組み(ナチュラルヘッジ)を作る。
④「余剰金の放置リスク」法人資産の保全
事業利益だけでなく、会社が積み上げた資金の置き場所を見直す。銀行に偏らない資産配分が、長期的な企業の耐久力を決定づける。
「この円安は一過性のイベントではないね。今後も継続し得る構造的変化と考えるべきかもしれない。
今、我々に問われているのは為替の動向そのものではなく、『変化に流される経営』なのか、それとも『変化を乗りこなす経営』なのか……という選択を迫られているんだと思うよ。」

